擬似ではない懐古について

ベッドフレームの内側二畳に日用品を並べている。夕方になって工具の不足に気づき、模様替えに伴うベッドの解体作業を中座することになったのだ。


部屋の中央、骨だけになったベッドが置かれたことで境界というものの存在を強く感じる。柵のようであり、なんとなく鞄や綿棒を並べたくなる。

 

かつて骨の上に乗っていたマットレスや毛布や羽布団は、フレームの真隣の床に直置きで並んでおり、脱皮したトカゲと剥がれた外皮のようにも見える。


幼少期は雑魚寝をしていた。床に敷いた布団は薄かったから、よく腰を痛めなかったと当時の身体の若さに感動する。

ここ十年は床とマットレスとの間に空きがある就寝姿勢を取っていた。こんなに床が近いのは久しぶりだし、こんなにベッドフレームが真横にあるのは初めてだ。


明日、六角レンチを買いに行く。