洗い物が面倒なので持っていない

作業中や移動中はスマートフォンでラジオも聞くが、古いWALKMANで音楽を聞くことが多い。少し前に叔父から譲り受けたそれを使い始めてから、以前までなぜかSONYに抱いていた恐れのイメージがやや軽減した。今はドミコの『hey hey,my my?』がアルバム通りの順番に流れている。


たいてい便利で良いものとして重宝している。ひとつ気になることを挙げるとすれば、使い出して半年経っても電源を切るボタンがどこなのか知らないままだ。

電源をつけるにはどこかテキトーなボタンを押せばいいが、切るボタンはあるのかないのかもわからない。時間経過で勝手に画面が消えるので、とりあえずよしとしている。


とはいえ、実のところ本当は電源ボタンがあるのかもしれないと疑ってもいる。

いや、ひょっとすると僕が知らないだけでSONY製品には基本的に電源ボタンが搭載されていないのかもしれない。SONYくらい先進的な企業ならあり得ることだ。

果たしてそれって先進的なんだろうか。


電源(以下も『電源を切る』の意味)ボタンがないテレビを想像してみた。しばらく触っていないと勝手に画面が消える仕組み。しかし実家のテレビは東芝だが勝手に電源が切れるシステムだった気がする。

おそらく東芝のmp3プレイヤーにも電源ボタンは無い(ないしは極めて見つけにくい)のだろう。


電源ボタンがない扇風機を想像してみた。エアコンの想像に至らないのは金がなさすぎてエアコンのことをよく知らないからだ。サヨリの部屋の異様に小さいエアコン以上の知識がない。つまり何にもない。

なんにせよ時間経過で勝手に止まる扇風機はかなり困る。労力をかけたくないから冷房をつけるのに、勝手に止まられてはつけ直す手間で苛立ちと暑さが増しそうだ。


電源ボタンがないミキサーを想像してみた。餃子のタネを作るために肉と野菜を入れる。スイッチを押す。

肉と野菜が細断され攪拌される。ちょうど良い荒微塵切りになった。止めたい。止めるスイッチがない。

しばらくして時間経過でミキサーが止まる。生肉スムージーが完成した。

飲んで2日後、目が覚めると白い部屋にいた。

 

 

SONYの人に会ったら、できれば電源オフのボタンは付けた方がいいと思う旨を伝えたい。