頭上の電球が切れかけている。
自分のブースは元々照明の当たりが良かったので、ライティングはほとんど時間をかけず済んだが、裏手の装飾品販売ブースは時間を要しそうだった。
イベント主催団体のスタッフが素手で調整しているのを見るにLEDだろうか。光の色味は白熱電球っぽいけれど。もしくはスタッフの皮膚が熱に強いか。
電球が切れかけている。
手元のブースを照らす3つのうちひとつの光がチカチカと音を立てるように震えている。
さっきまで気が付かなかったから、ライティング中に接触が悪くなったのかもしれない。
自分の瞼の動きと錯覚して眠たい気分になってくる。実際、朝早かったし眠いのは事実だとしても。
その後店番の合間に世界99を読み耽っていたら照明のことは気にならなくなった。帰る頃にどうなっていたかなんかも全く覚えていない。
ここまで意識外に飛び出していかれると、もしや途中から直っていたんじゃないかと思う。目が痛いのは読書姿勢の悪さからくる疲労と常設症状のドライアイが理由に違いない。
翌日。
見たかったM-1グランプリ放送中の時間帯、たいしてお客がいるわけではない店内に集中して誰が出ているかとかあまり考えないようにしたり、持っていった『引力の欠落』を読むことで時の流れを加速させた。
多忙を演出することで気持ちを落ち着かせている己を俯瞰で見て、複雑な生き物だと思う。
12月について。
仕事。辞職。本業。年末。門出。好転。
収入は更に減る一方精神が健康になった。生きていたい。
