南南北北のオタクたち

業務中に理不尽の具現化としか言い表しようのない老人に脅され、数種類の余燼を燻ぶらせたまま映画館に入る。トラペジウムを見に来た。

 

上映期間後半のレイトショーは人が少なくて快適だから好きだ。

最後列中央の馴染みの席に腰をおろしてポップコーンと荷物の置き位置を探る。3列程度ずつの間隔をあけて中央席に客が自分含め4人座っていた。オタクくん縦列駐車完成。

 

邦画を見るのは久しぶりだ。わざわざ邦画と洋画で分けるのってしゃらくさくて好ましくない。『回廊とデコイ』以来だからそこまで久しぶりでもない。なんでこんなこと書いちゃったんだろう。

 

湧き上がり心を搔き乱す恥の記憶は声を出してかき消すしかない。ほとんど毎日増えていく。週の半分は自由な声を出しにくい環境下に身を置いているから、週のもう半分でかき消す。タスクの落ちゲー。週休0日。助けてほしい。

 

トラペジウムを見ていた時に話を戻す。

アイドルになった東西南北(仮)のパフォーマンスを見た瞬間。喉の震えと目頭の温度上昇を確かに感じていた。ぱたりと生ぬるい水分が鎖骨の付近に落ちたのは、心身の疲弊を体外に開放できたが故のものだろうと思う。無論東ゆうの慧眼のおかげに他ならない。

 

あとは何も思い出せないので嘘と事実が半々のことを言って終わりにする。

映画を見た後、深夜の帰路で台風に巻き込まれて背中からイノシン酸こぼれた。